保護猫お預かりボランティア

保護猫ケージからの脱走と今日の記録

朝起きて、いつも通りごはんと水の用意をした。まだ眠気が残っていて、頭がぼんやりしていたのかもしれない。いつもの手順でケージを開け、器を取り替え、フレッシュなお水を入れた。ここまでは何も特別なことはなかった。けれど、私はそのあと扉をしっかり閉めることを忘れてしまった。ほんの一瞬の不注意。それがすべての始まりだった。

しばらくして振り返ると、ケージが空になっていた。中にいるはずの保護猫がいない。視界に入った瞬間に血の気が引いた。まさかと思い、慌てて部屋を見渡した。家具の隙間やカーテンの裏、狭い場所をひとつひとつ確認した。保護猫は人馴れしていない。人間を怖がる子だ。だから、きっとどこかに潜んでいると思った。

探す時間が長引くほど、焦りが強くなった。見つけなければいけない。逃がしてはいけない。その一心で、普段なら手を入れないような隙間にまで顔を突っ込んで探した。すると、段ボールの陰で怯えた目をした猫を見つけた。背を低くし、耳を伏せ、完全に警戒していた。

なんとか捕まえようと手を伸ばした。すると一瞬で噛みつかれ、爪で引っ掻かれた。鋭い痛みが走り、手の甲から血が流れた。それでも離すまいとしたが、次の瞬間また噛まれ、今度は腕まで傷がついた。私は思わず声を上げた。痛みと驚きで体が強張った。

必死に捕まえようとしたけれど、完全に抵抗され、どうしても抑えられなかった。腕は傷だらけになり、流血もしていた。消毒をしたい気持ちと、逃げられたら困るという焦りが入り混じって、頭の中が混乱した。それでも猫の方が圧倒的に早く、するりと私の手から抜けていった。

もう一度捕まえようとしたが、怯えた猫は家具の下に潜り込み、鋭い視線を向けてきた。唸り声は出さなかったけれど、その目がすべてを語っていた。完全に信頼を失ってしまったような気がして、胸が苦しくなった。これ以上追い詰めてはいけない。そう頭では分かっていても、ケージに戻せなかったことへの悔しさが強かった。

結果として、私はケージに戻すことを諦めた。今は二つの部屋を行き来できるようにし、そこを自由行動の範囲にした。閉じ込めることはできなかったが、逆に広い場所で落ち着く時間を与えた方がいいのかもしれないとも思った。

ただ、腕や手に残る傷の痛みが現実を突きつけてくる。噛まれた部分は深く、引っ掻き傷は長く赤い線になった。消毒をしてガーゼを当てても、ズキズキとした感覚は消えない。痛みよりも、「信頼を壊してしまったかもしれない」という思いが辛い。少しずつ距離を縮めてきたはずだったのに、今日の出来事でまた振り出しに戻ってしまったのではないか。そんな不安が頭を離れない。

自由にさせた部屋の隅から、ときどき猫の視線を感じる。こちらを警戒しているのが分かる。今までのようにケージ越しに安心した距離感ではなく、広い部屋の中で自由に動けるぶん、私が近づくとすぐに逃げる。その姿を見るたび、胸が締めつけられる。

それでも、ごはんと水を置いておくと、私が見ていないときに食べているようだ。食欲があることが救いだ。トイレもきちんと使っている。だから、命の危険はない。ただ、心の距離はまた遠くなった。それが何よりも苦しい。

夜になり、ようやく一日の出来事を振り返る余裕ができた。ケージの扉を閉め忘れるという初歩的なミスから始まり、捜索、噛まれ、引っ掻かれ、流血、そしてケージに戻せず自由行動に至った一連の流れ。ひとつひとつは小さな判断の積み重ねだが、その結果が今だ。

日記に書きながら、自分に言い聞かせている。二度と同じことは繰り返さない。どんなに慌ただしくても、どんなに眠くても、ケージの扉を閉めるという基本を忘れてはいけない。小さな不注意が、猫にも自分にも大きな負担を与えるのだと痛感した。

今はただ、猫が少しでも落ち着いてくれることを願っている。信頼を取り戻すのに時間がかかるかもしれない。それでも、焦らず、寄り添っていきたい。傷だらけの腕を見ながら、自分の弱さと未熟さを噛みしめた一日だった。

熱が出たら病院行きます。w

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